何もしなくても生きていけるかもしれないが、
やはり未来から逃げてはいけない。
未来のために正直にコツコツと活動していくのが豊島の道。
豊島株式会社 代表取締役社長 豊島 半七
豊島には地球に優しい素材の普及に取り組んできた歴史がある。
繊維業界でもSDGsやサステナビリティといった言葉が飛び交う時代になりましたが、豊島株式会社では国連総会でSDGsが採択される以前から、地球に優しい素材の普及に取り組んできた歴史があります。
例えば2005年に始めた「オーガビッツプロジェクト」もその一つです。綿花栽培にはかなりの量の化学肥料が使われている現状がありますが、100%オーガニックコットンは高価で、普及は簡単ではありません。そのため100%にこだわらずオーガニックコットンの割合が10%の商品を100倍の人に届けることで、原料の消費を拡大しようとこのプロジェクトを始めました。
個人的には十数年ほど前から環境問題への意識が強くなっていきました。健康寿命は伸び、想像していた未来も変わり「このままではいけない」と考えるようになりました。そして、企業としては前述した「オーガニックコットン」や木材パルプから精製した「テンセル」について取り組むことが増えていく中で、個人としても企業としても、できることはしていかなければならないのではないかと、意識が強くなっていったように思います。私の個人的な想いと、事業の内容、そして世界的なSDGsの流れが並走し、それぞれが今、一致してきたと考えています。
理念に掲げる「誠実と信頼・堅実と積極」は、SDGsに通じる理念。
私自身は、商品やサービスについて「エシカル」という言葉は使いません。厳密に言えば「エシカル」ではないからそこに嘘はつかない。しかしながら「トレーサブルに自信があります」と言うことはあります。その時は、私自身も覚悟を持って発信していますし、製品を扱う部署にも担当者にも「覚悟を決めてくれ」と念を押します。それほど誠実に本気で取り組んでいるということです。
我が社はB to B企業ですが、消費者の皆さんに製品を理解してもらうためにダイレクト事業やメッセージ発信をしているのも、その活動が地球のためであり、皆さんのためになると考えているからです。理念である「誠実と信頼・堅実と積極」は、言葉としては古いと思いますが、正直にコツコツと活動していくことはSDGs達成においては欠かせない理念だと思います。
「オーガニックコットン」や「テンセル」「フードテキスタイル」などの持つ付加価値を
顧客に理解してもらうことを決して諦めてはいけない。
繊維業界はいま大きく変わろうとしており、環境への負荷をいかに小さくしながら産業そのものを育てていくかが問われています。
その中で、オーガニックコットンやテンセル、フードテキスタイルなどさまざまな素材の普及に取り組んでいますが、当然ながら、「質はいいけど値段はそのままにしてほしい」と言われることがあります。
繊維素材とは、グラム数を変えて販売できる食品などと違い、簡単に用尺を変えて販売することはできません。先進国の中でも物価の安い国となった日本で、付加価値を認めてもらうのはとても難しいという現実もあります。
それでも、その価値を理解していただく活動を諦めずに行い、認めていただくことで私たちのビジネスは成り立っています。